生まれ変わった新破産法と自己破産
改正された新破産法ではまずその呼び名、名称が変更されています。「破産宣告」「免責の決定」というキツク厳しいイメージのものから、「破産手続きの開始」「免責許可の決定」へとそれぞれ変わりました。
更に、これまで個別の申し立てが必要だった破産手続きと免責手続きの一本化が行われることになりました。免責が不要だと訴える債務者はいないに等しく、むしろ免責が目的の破産申請ともいえることから、一本化により迅速化が大きく進んだことになります。
これ以外にも、免責手続き中における強制執行の禁止、債務者自ら管理や処分が可能な差し押さえられることのない自由財産の拡張など、新破産法には債務者の今後の生活を保護する内容が色濃く表れています。
■新たな人生を歩むために
免責手続き中の強制執行禁止とは、債権者のなかには免責許可が下りる前になんとか返済につながるものを回収しようとする者も出てきますが、それが禁止となることです。債務者の手元における財産も99万円までと増加し、その内容に制限はないため、価値によっては愛用品も手放さずに済むようになりました。
自己破産する人のなかには、必死に返済に努めていても、思わぬ怪我や病気で働けなくなり収入が途絶えたことからやむなく自己破産の道を選ぶというケースもあります。これまでは一度自己破産による免責を受けると、10年間は再び免責を受けることはできませんでしたが、改正された破産法では、その制限期間が7年に短縮されています。
債務者に有利に改正されたといえる新破産法ですが、二度と破産の申し立てなどすることのない、新たな人生を力強く生きるための願いが込められているといえます。
過払いと時効
■過払い金の返還請求とは
過払い金とは債権会社に払いすぎた利息のことで、過払い金返還請求をすることによって払いすぎたお金が戻ってくる可能性があります。利息制限法という法律の適正な金利を超える違法な金利で貸付をしていた債権会社は多く存在します。
利息制限法では原則として年率15~20%を超える利息は取ることができませんが、「みなし弁済」というものがあり、いくつかの条件を全て満たした場合は利息制限法を超えた利息を取ることができます。しかし「みなし弁済」の条件を満たしている債権会社をほとんどないといわれています。
利息制限法の上限を超えた利息分は本来払う必要がありません。この払い過ぎたお金について債権会社に返してもらうよう求めるのが、過払い金の返還請求です。
■訴訟にいたる場合も
過払い金返還請求をした相手側が、交渉に応じない場合は、訴訟を起こすのもやむを得ないことになります。裁判所に提訴することで初めて相手側は、事の重大さに気づくといえるかもしれません。
それにより交渉に応じた貸金業者との間で、こちらの請求通りの和解が成立するのであれば幸いな結果で訴訟に終止符が打たれます。ですがあくまで抵抗する構えで、判決が下されるまで持ち越されるケースもあります。
弁護士などを代理人に立てた場合、手続き開始から3~4か月で返金を受け取れることが多いのに対して、個人で全てを行う場合は、それ以上の期間を要することに加え、精神力・知力ともに相当なものが必要であることは間違いないようです。
債務整理の方法を決めるポイント
■債務整理の最終手段
債務整理をするうえでいくつかの方法があるなかで、自己破産は最後の手段といえます。なぜなら自己破産は、裁判所から返済不能と認められ免責決定が下された後は、どんなに多額の借金も全額免除となるかわりに、生活に最低限度必要なもの以外の財産を全て失うことになるからです。
弁護士や会計士などの職業に就いている人は、自己破産の手続きが始まって免責決定が下りるまでの半年近くの間、資格停止となり職を失うことにもなります。また、連帯保証人がいる場合は、例え債務者本人が免責となっても、連帯保証人の責任まで免除となる訳ではないので、ともに自己破産となる事態に巻き込むことにもなるのです。
自己破産の決断は特に慎重に、それ以外に道はないのかを専門家に相談するなどして、それでもどうしても解決する手段がないとなった時に出す最終結論といえるようです。
■任意整理と特定調停の違い
債務整理の方法を決めるには、借金の総額がどれほどのものかによっても選択肢が分かれることになります。比較的少額な債務の場合に、任意整理や特定調停という道がありますが、その手続きにかかる費用に大きな違いがあります。
特定調停は、度々裁判所に足を運ぶことになるものの、裁判所内の調停委員に債権者との間に入って和解案を導き出してもらうものなので、新たに弁護士などを依頼する必要はなく、費用は抑えることができます。
しかし任意整理は、弁護士などの専門家に依頼をしなければ手続きを進めることは難しく、費用も専門性の高い手続きに見合ったものが必要になります。そもそも経済的困難な状況下であるが故の手続きにかかる費用が大きいということは、負担が増すということになります。
■自己破産の前に
しかし一方で、個人再生も任意整理同様専門家による手続きとその費用が必要となりますが、ともに借金が減額される可能性が高いという面を持っています。それは、消費者金融などから借り入れをして長年返済を続けている場合、利息の過払い金が発生しているケースが多く、その過払い分が元本返済に充当されるためです。
また個人再生は、任意整理や特定調停を選択できるほどの返済能力はない場合も、マイホームを残したうえで新たな返済を進めていくことができます。借金の理由についても、自己破産のように免責不許可事由がないため、ギャンブルなどが原因の借金でも手続きは可能です。
借金が減るどころか増えていく月々の返済と、激しくなる取り立てとでいよいよとなった時も、自己破産の前に別の手段の可能性を充分に考えてみるべきといえます。